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米インテルが、回復を見込んでいた2019年通期の業績見通しを引き下げると発表した。加えて今後3年間は売上高と利益率、ともに厳しい状況が続くだろうとボブ・スワンCEOは見解を示した。半導体市況に回復の兆しが見えない上、次世代CPUへの移行が遅れたインテル自身の事情も関係している。

インテルのデータセンター向け事業の顧客リストには、中国企業の名前が目立つ(写真=ユニフォトプレス)

 優秀な財務専門家が3人そろっているにもかかわらず、目標とする業績を達成できないと分かったら、どうすればよいのだろうか。

 今年初め、インテルのCEO(最高経営責任者)に財務部門のCFO(最高財務責任者)だったボブ・スワン氏が昇格した。同社をカバーしていた米証券アナリストたちは、この人事を高く評価した。これで元同社CFOで現会長のアンディ・ブライアント氏とともに、インテルの業績は立て直せると期待したのだ。それからほどなくして、クアルコムのCFOを務めていたジョージ・デービス氏がインテルのCFOとして迎え入れられた。インテルは事業の多角化を急ぐあまり、投資額が膨らんでいた。投資額を抑え、財務規律を厳格にすべきなのは誰の目にも明らかだった。

 従って2週間ほど前、スワン氏が業績は急回復するとの2019年通期見通しを引き下げてきたのには、いささか失望させられた。スワン氏はこれまで、予想外だった昨年末の需要低迷状態を脱して、業績は急回復するだろうと発言していたからだ。

 続いてスワン氏は5月8日の遅い時間に初めてアナリスト向け説明会を開き、これまでの予測は誤りであり、間違ったメッセージであったことを認めた。さらに、向こう3年間は売上高の伸び率が低迷し、利益率が悪化するだろうとの見通しを明らかにした。

 これを受け、ここ2週間でインテルの株価は20%近く下落した。同期間のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は7%下落し、昨年12月に底をつけた時からの上昇率は45%まで減少してしまった。2019年初めに力強いスタートを切った半導体業界は早くも本格的な試練の時を迎えている。

 問題の一端は、株式市場が発する回復シグナルに反し、今年下半期に業界が確たる回復を遂げると見通しを持つのが難しくなってきていることにある。半導体市況はいまだ底入れの兆しが見えていない。米国半導体業界によれば、3月のメモリー売上高は前年の水準から35%減少した。

貿易戦争で低迷が長期化

 だが、半導体業界の過剰在庫の削減が進んでいないことに加え、さらに深刻な問題があることをうかがわせる動きがある。それは、これまでインテルの成長をけん引していたデータセンター向けCPU(中央演算処理装置)の需要回復が予想よりも遅れ、投資が依然手控えられていることだ。同社は、19年のデータセンター用半導体売上高は全体的に減少せざるを得ないだろうとみている。

 インテルによると、第1四半期に大手企業と政府からの需要が20%以上減少した。こうした顧客からの需要急減は、往々にして半導体セクター全体に対する投資意欲が低下しているサインでもある。経済の先行き不透明感が高まっているため、企業が新規設備投資を先送りしていることの表れだからだ。

日経ビジネス2019年5月20日号 94~95ページより目次