中国の景気減速が、ハイテク産業を苦しめている。中でも、スタートアップに回る資金が細っているのだ。専門家は、スタートアップの時価評価額は1年前の半分程度にしかならないと指摘する。ハイテク大手も安穏としてはいられない。アリババやテンセントもリストラ策を発表した。

 「厳しい冬を迎えて初めて、我々は松や糸杉の質を見極めることができる」。中国検索最大手、百度(バイドゥ)のCEO(最高経営責任者)、ロビン・リー氏は従業員に宛てた新年の書簡でこう述べた。中国ハイテク産業が寒風にさらされているとの認識を示す言葉だ。

 前途有望なスタートアップが当然得られると期待していた潤沢な資金は、ほぼ枯渇した。人員の削減も拡大している。大手でさえこうした事態を免れ得ず、ボーナスや出張費の削減に動くありさまだ。

 中国で最も勢いのある企業が、こうした環境の激変に直面している。食品サービス配送アプリの美団-大衆点評はその一社だ。

 昨年初めには、これらの企業は活況を呈し、多くの投資家の注意を引き付けていた。英調査会社プレキンによれば、2018年上半期には、中国VC(ベンチャーキャピタル)の調達額が史上初めて、米国市場での調達額を上回った(それぞれ560億ドル=約6兆2000億円=と420億ドル=約4兆6000億円)。秋までに86社ものユニコーン──10億ドル(約1100億円)以上の企業価値を持つ未上場企業──が新たに誕生した。

 だが、その後「資本の冬」が訪れた。きっかけの一つは世界中のハイテク株が売られたこと。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)も例外ではなかった。

2018年に減少
●中国での未公開株取引とベンチャー投資
出所:The Economist/Wind info

18年後半に潮目が変わった

 景気が減速する中で売上高の高い成長を達成できるのか、あるいは、高い評価を受けているスタートアップが黒字化するのにどれだけの時間がかかるのかなど、数々の不安が台頭した。

 大手企業でさえ、売上高の伸びが減速している。報道によれば、電子商取引大手の京東集団は18年第3四半期、四半期売上高の伸びが14年以来最低となった。新規ユーザーの数も初めて減少した。

 VCによる創業間もない企業への投資件数は18年10~12月、同年7~9月の水準から40%減少した(調査会社CBインサイツの調べによる)。また未上場企業への投資額は25%以上減少して、100億ドル(約1兆1000億円)を下回った。資金を調達することができずに姿を消した小規模VCは少なくない。

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