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北京を取り巻く河北省で、大気汚染対策が進んでいる。省政府はガスの供給網を整備。暖房の熱源を石炭からガスに代えるよう補助金を支給する。その一方で、中小の工場17万件を閉鎖に追い込んだ。地域の雇用を削ぎつつの補助金政策。その成否は。

華北省石家荘の裏通り。建物の壁に黄色いガス管が付設された(写真=ロイター/アフロ)

 ある寒い冬の日。村の美容室を満たす蒸気はいつになくきれいだった。ここ中国河北省の軍城では、これまでそこら中をベトベトにしてきた石炭の代わりに、配管を伝って届くガスが使われるようになった。

 この清潔さを手に入れるにはコストが伴う。シャンプーとカットの順番を待つ数人の客たちは、1銭の単位に至るまで代金を気にしている。ガスのほうがたいてい石炭よりも高価なのだ。だが差し当たっては政府がガス代を負担している。

 この数年間、河北省(北京市を取り囲む)にある数百の町村では補助金が経済を支えてきた。「スモッグの都」として悪名高い北京の大気環境を改善するために生じる経済的ダメージを、補助金が緩和してきた。その用途は、環境保護トイレの設置からガス暖房を導入した世帯に支給する現金に至る。