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携帯機器やEV(電気自動車)のバッテリーに欠かせないコバルトは、3分の2がコンゴ民主共和国産だ。しかしコンゴの政情は不安定で、今後急増が予想されるコバルト需要への不安要因となっている。オーストラリアやカナダなど、世界各地の鉱業会社がコバルト生産への取り組みを進める。

コンゴ民主共和国が断トツ
●全世界のコバルト生産量
出所:Financial Times/Darton Commodities

 オーストラリアの内陸部、シドニーから1000kmほど離れたブロークン・ヒルには、銀や鉛、亜鉛の巨大な鉱床があり、古くから鉱業の町として栄えてきた。この町は現在、EV(電気自動車)市場が急速に拡大する波に乗ろうとしている。EVに使われるコバルトを供給する重要な生産地としての地位を狙っているのだ。

 コバルトは、携帯機器やEVのバッテリーに使用される。2029年までに需要が4倍に増えると予測される。そこで、ブロークン・ヒルに拠点を置く複数の鉱業会社が、この予測に興味を引かれているわけだ。

 コバルトの供給に懸念が生じていることも、これらの企業の関心をあおる。現在、世界のコバルトの3分の2はコンゴ民主共和国で採掘される。しかし、この貧しい国は腐敗しており、政情も不安定だ。また、人力に頼る採鉱で子どもを働かせていることで世界中から批判を浴びてきた。