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年々発行量が増加傾向にある米国債の買い手が見つからない点が、米専門家たちの間で問題視され始めている。最大の保有国だった中国のみならず、世界各国の外貨準備高は減少しており、海外の買いに頼るには限界がある。借り入れを減らし、国債発行を抑えられなければ、米国民自らが国債の買い手に回らざるを得ない。

米財務長官が、中国をa説得し米国債を買い増すよう働きかけるのは難しい(写真=AFP/アフロ)

 米ゴールドマン・サックスの銀行幹部であり、米財務省に国債発行に関して助言する国債発行諮問委員会(TBAC)で委員長を務めるエリザベス・ハマック氏は1月29日、スティーブン・ムニューシン財務長官宛てに書簡を送った。そこには驚くような内容が記されていた。

 TBACの試算によると、米国は今後10年間に12兆ドル(約1317兆円)相当の国債を発行する必要があるという。これは過去10年分の発行額をはるかに上回るものだ。「景気後退の可能性を考えずとも必要となる措置であり、これにより財務省は今までに経験したことのない困難に直面するだろう」とハマック氏は警告している。

 端的に言うと、TBACに属するウォール街のリーダーたちは、書簡を通じて「これほどの量の米国債をいったい誰が買うのか」と、財務省に問いかけたのである。