全2901文字

米司法省は、ファーウェイおよび同社の孟晩舟CFOを起訴した。しかし、その証拠を示していない。この対応は公平だろうか。同社製品の受け入れ国は、同社を監視するとともに公正な対応をとるべきだ。他方、ファーウェイも外国人の登用を増やしたり、企業統治の透明性を高めたりする努力が欠かせない。

ファーウェイの孟晩舟CFOが逮捕されたことに抗議するためカナダの裁判所を訪れた中国人(写真=ロイター/アフロ)

 中国の劉鶴副首相は1月28日、米中貿易戦争の緩和に向けた協議に臨むべく米ワシントンに降り立った。だが同氏を出迎えたのは、米国との避けることのできない対立だった。

 この日、米国の司法長官は中国有数の企業である華為技術(ファーウェイ)を制裁違反、企業秘密の窃取、司法妨害など23の罪を犯したとして起訴した。米当局はまた、同社を国家安全保障上の脅威ととらえていることを明らかにした。現代社会を支える基盤である通信ネットワークにおいて重要な役割を果たしているからだ。

 ファーウェイ製品を利用する約170の国々は、同社と取引することが安全なのかどうか判断を下す時期に直面する。

 この判断は困難な作業だ。なぜならファーウェイは複数の顔を持っているからである。

 その第1は無害なもので、中国で最も成功しているグローバル企業としての顔だ。2018年は1100億ドル(約12兆円)の売上高を計上し、2億台のスマートフォンを出荷した。これまでに1500のネットワークを構築しており、地球上で暮らす全人口の3分の1がこれに接続している。

 第2は、利益のためには法を犯すこともいとわない下劣な企業の顔だ。検察当局はファーウェイに対し、知的財産を窃取した従業員に賞与を与えたとの容疑をかけている。同社の創業者の娘で、CFO(最高財務責任者)を務める孟晩舟氏が、対イラン制裁違反に絡んで銀行詐欺を働いたとも主張する。