グローバル化の黄金時代は終わった。輸送コストはこれ以上下がらず、サービスの貿易には限界がある。海外投資や貿易の伸びが鈍るこの「スローバル化」の時代には、各地域内でのつながりが強まる。国際ルールは地域ごと分断され、国際協調も失われ、グローバル化が生んだ負の遺産は解決されない。

米国が2年前に保護主義へとかじを切った時、人々はそれを、悲惨な1930年代を思わせる陰鬱な警告として受け止めた。しかし今日、その不吉な予測は誤っていたように見える。確かに中国経済は減速し、米アップルをはじめ中国に大きく依存する欧米企業は大打撃を被っている。しかし、2018年の世界経済はほどほどに成長。失業率は低下し、企業の利益は拡大した。
米国のドナルド・トランプ大統領は18年11月、メキシコ、カナダ両国との新たな貿易協定に署名した。今後の米中交渉を通じて中国の習近平国家主席との間で合意が成れば、市場は安堵し、次のように結論づけるだろう。この貿易戦争は政治上の駆け引きで、中国から少しばかり譲歩を引き出そうとしたもの。世界の貿易を崩壊させるものではない、と。
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