財政難にあえぐ健保組合を尻目に、診療報酬はプラス改定が続いてきた。「医療の値決め」となる診療報酬改定で、健保組合側は押し切られてしまう。経済界は後ろ盾となって、年金改革の時のような存在感を見せるべきだ。

医療費は膨張している
医療費は膨張している
●医療費の動向 出所:「2021年版厚生労働白書 医療費の動向」

 会計検査院が今年1月に公表した報告書が健保組合の関係者の間で話題となった。

 国は2020年度から21年度にかけて3兆円を超える補助金を医療機関に交付した。新型コロナ患者の受け入れに備え病床を空けた医療機関に対し、収入減少分を補塡する狙いがそこにはあった。だが会計検査院が496病院を抽出して調べたところ、医療機関によっては過剰に補助金が投入されていた。269病院の医業収支を分析すると、コロナ禍前の19年度は赤字だったが、20年度以降は補助金により一転して黒字になっていた。

病院には大盤振る舞い

 保険料率の引き上げや新型コロナ禍による「受診控え」が起きたことで健保組合も20年度は経常黒字を確保したが、翌年度には800億円を超える赤字を計上(決算見込み)。足元の健保財政は支出が増大している。「支払う側の我々は苦しい状況なのに、病院には大盤振る舞いだ」。健保組合の関係者は不満を漏らす。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1596文字 / 全文2103文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「健保沈没 人的資本経営の急所」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。