財政難にあえぐ健保組合を尻目に、診療報酬はプラス改定が続いてきた。「医療の値決め」となる診療報酬改定で、健保組合側は押し切られてしまう。経済界は後ろ盾となって、年金改革の時のような存在感を見せるべきだ。

会計検査院が今年1月に公表した報告書が健保組合の関係者の間で話題となった。
国は2020年度から21年度にかけて3兆円を超える補助金を医療機関に交付した。新型コロナ患者の受け入れに備え病床を空けた医療機関に対し、収入減少分を補塡する狙いがそこにはあった。だが会計検査院が496病院を抽出して調べたところ、医療機関によっては過剰に補助金が投入されていた。269病院の医業収支を分析すると、コロナ禍前の19年度は赤字だったが、20年度以降は補助金により一転して黒字になっていた。
病院には大盤振る舞い
保険料率の引き上げや新型コロナ禍による「受診控え」が起きたことで健保組合も20年度は経常黒字を確保したが、翌年度には800億円を超える赤字を計上(決算見込み)。足元の健保財政は支出が増大している。「支払う側の我々は苦しい状況なのに、病院には大盤振る舞いだ」。健保組合の関係者は不満を漏らす。
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