日本には誰もが必要な医療を受けられる国民皆保険制度がある。この世界に誇る素晴らしい仕組みは私たちに安全・安心をもたらしている。だが今、その土台として機能する企業の健康保険組合は危機的状況だ。約1400ある健保組合のうち、約8割が赤字にあえいでいる。理由は年々膨張し続ける医療費。高齢者医療の負担が財政を押し潰す。健保組合は従業員の疾病予防や健康増進に大きな役割を果たしてきた。人的資本が企業成長を決める時代、その重要パーツを失ってはならない。高齢化社会の荒波にもまれ、沈む健保組合を救う手立てはあるのか。(写真=3DSculptor/Getty Images、イメージマート)

(飯山 辰之介、鳴海 崇、松本 萌、松崎 遥、武田 安恵)

CONTENTS

PART1
少子化対策の財源案も浮上
赤字組合は8割 解散ラッシュの予兆

COLUMN
健康保険組合の基礎知識

PART2
デンソー、トヨタも巻き込み疾病予防
現役世代の健康 財政改善のカギに

PART3
医療費膨張招いた40年の失策
「健康への無関心」 経営者に回るツケ

PART4
膨らみ続ける診療報酬も元凶
健保組合と経済界 国・医師会に声上げよ

COLUMN
健保組合こう守れ、専門家の「提言」

日経ビジネス2023年5月29日号 8~9ページより目次