利便性を追い求めてきた私たちの社会システムが「悪意」を増長させている。人と人とを結ぶSNS(交流サイト)は悪意を拡散・増幅する装置としても機能する。不透明感の強い社会に渦巻く負の感情は、個人や企業のささいなミスを見逃さない。怒りの対象を「悪」と断定した人々は、容赦ない暴言や嘲笑で“生贄(いけにえ)”を攻撃する。歯止めが利かない悪意の暴走は、個人や企業、社会すら壊死(えし)させる猛毒と言えるだろう。性善説を信じるのは大切だ。だが、降りかかる火の粉からステークホルダーを守らねばならない。理不尽な悪意にあらがうため、まずはそのメカニズムを知り、感情に配慮した企業経営が求められる。(写真=andrewshka/Getty Images)
(高尾 泰朗、生田 弦己、中西 舞子、吉野 次郎、酒井 大輔)
CONTENTS
PART1
スシロー「ペロペロ事件」が映し出す
SNSで正義感は反転 暴走する消費者
PART2
「三方よし」はもう限界
もろくも崩れる性善説 カスハラにあらがう術