ChatGPTがもたらしたAIの民主化は、経済、社会など全方位に大きな衝撃をもたらした。今後、世界はどう変わるのか。世界を代表する第一線の識者に聞いた。
「ChatGPTは始まりにすぎない」 時価総額5兆円、最注目AI企業CEO

米オープンAIがChatGPTを公開した2022年11月以降に起こったのは、「誰もがAIに興味を持つようになった」という現象だ。我々の全ての顧客が「生成AIに対する戦略を持たなければならない」と相談してくる。
私たちが大学でAIを研究していた09年ごろ、AIやビッグデータは限られた研究者たちの話題だった。ただ、米グーグルなどの巨大IT企業はすでに驚くべきことをやっていた。膨大なデータを活用して、市場で勝つために将来を予測していたのだ。私たちは、その方法論を「民主化」したいと考えた。
当時、私たちはグーグルの研究者などが発表した「多くのデータを使ったシンプルなモデルのほうが、少ないデータを使った高度なモデルよりずっと優れている」という論文に感銘を受けた。13年後にオープンAIがChatGPTで証明したのは、まさにこの論文のアイデアだ。論文は未来を予測していたのだ。
AIモデルにも非常に重要なブレークスルーがあった。17年にグーグルの研究者らが発表した「トランスフォーマー」。このアイデアを大まかに紹介すると、「重要ではない単語は無視しよう」ということだ。文章の中で重要な箇所を人間も無意識に認識している。「文脈の理解」とも言える技術に、AI関係者は全員興奮した。
トランスフォーマーの登場、あるいはそれに連なるChatGPTのような生成AIの勃興は、インターネットの登場と同じ、いやそれより大きなブレークスルーだろう。
あなたの会社に眠る「金鉱脈」
私はChatGPTを、ほんの始まりにすぎないと考えている。1980年代にインターネットという概念が生まれた時、グーグルはまだ存在しなかった。ツイッターもフェイスブック(現・メタ)もEC(電子商取引)もなかった。誰一人として、今のような発展を予想できなかったが、インターネットの根源的技術はすでに存在していた。
生成AIも同じだ。根源的な技術はすでにある。これから10年でさらなる技術的ブレークスルーが起こり、GAFAMのような企業が生まれ、急成長するだろう。
1840年代後半、私の住んでいるカリフォルニアでゴールドラッシュが起き、世界中から金を探す移住者が殺到。そして企業は探鉱者たちにシャベルやピック、そしてジーンズといった道具を売り始めた。
私たちも道具を提供する。データブリックスのサービスで独自の生成AIを構築することも可能だろう。あなたの会社も、膨大なデータを持っている。道具を使って、それをゴールドに変えられるかもしれない。(談)
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