金融庁が注目する「格差」

 ここで、福田CEOのように連続して資金を得ることがなぜ重要なのか理解するため、金融庁が22年7月にまとめた起業に関する報告書を紹介したい。女性起業家の資金調達を男性と比較すると「悲劇的に困難な状況」と、強烈な危機感を示している。

起業した女性にスケール拡大の壁
起業した女性にスケール拡大の壁
●起業数と資金調達での男女比 注:金融庁政策オープンラボ資料から作成。独立・起業は2017年「就業構造基本調査」に基づく。資金調達は19年、金額上位50社のうち創業者か社長に女性を含む企業が手にした額の比率

 国内の起業数に占める女性の割合は約3分の1なので、スタート時点で少数派ではある。しかし、お金がなければ次に進めないことを考えると、さらなる問題はここからだ。スタートアップによる資金調達額について上位50社を見ると、女性起業家が手にした金額は2%しかない。仮に女性の方が小規模な事業を選ぶ傾向があったとしても、それとは逆に国内外で規模拡大を追う女性もいる。そして事業展開する分野や地域を広げたい時、女性というだけで資金獲得に難儀した複数の実例がある。

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この記事はシリーズ「女たちの賃上げ 年収・昇進・起業の壁を壊せ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。