「当社の事業のすべてを包含する社名が必要になっている」2021年10月28日、米フェイスブックがメタへの社名変更を宣言し、「メタバース」は国境を越えたバズワードと化した。未曽有のパンデミックは人のリアルでのコミュニケーションを遮った。生活基盤を仮想世界に移す未来は希望を感じさせ、企業の参入も相次いだ。あれから1年と4カ月。新型コロナウイルスに慣れた人々は現実世界へ回帰した。果敢な大転換を宣言したメタの株価は下落し、世間の狂騒も冷めつつある。無限に広がる仮想世界が社会を発展させる未来図は、いっときの流行だった──。本当にそうだろうか。過度な期待とむやみな幻滅は、先を見通す目を曇らせる。熱狂が冷めつつある今こそ、メタバースの真価を探ろう。(写真=Hiroshi Watanabe/Getty Images、Yagi Studio/Getty Images)
(鷲尾 龍一、シリコンバレー支局 島津 翔、八巻 高之)
CONTENTS
PART1
ザッカーバーグの蛮勇
メタが挑む90兆円市場 直面する内憂外患
PART2
日本企業、「ネット敗戦」巻き返しなるか
幻滅の裏で探る商機 狙うはリアルとの共創