「生産性が低すぎる」。モノづくりの優等生だった日本には、手痛い批評が向けられている。国と企業が歩調を合わせて成長してきた我が国は「規制緩和」を魔法のつえのように語る。しかし、本当に足りないのは覚悟だ。規制改革のキーパーソンに日本企業の心構えを聞いた。
「2年間の改革の工程表を取りまとめ、規制改革に活用できるテクノロジーの整理を加速させる」──。
2022年10月、岸田文雄首相はデジタル臨時行政調査会(臨調)の会合でこう強調した。インフラ点検や病院勤務で、人による目視や常駐などを義務付ける「アナログ規制」。デジタル臨調はその撤廃を一気に推進し、9029条項の法律や政省令について、24年の通常国会までに改正する。
岸田首相が掲げる総合経済対策の目玉は地域間、産業間、職業間の労働移動の促進だ。活性化するには、人材の受け皿になりやすい成長産業を思い切った規制緩和で迅速に育てていくプランが欠かせない。だが、規制に関する課題は少なくない。
「日本経済の復活には企業間で切磋琢磨(せっさたくま)を重ねる必要があるが、どうでもいい規制があまりにも多すぎる。企業は既得権益に浸って競争力を失い、新しい事業を生み出す可能性を手放している」
早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は日本にはびこる規制について、こう説く。守るべき規制を拡大解釈し、守らなくていい規制まで設けている環境は、企業同士のなれ合いにつながる。
![入山 章栄[いりやま・あきえ] 早稲田大学ビジネススクール教授](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/01340/p1.jpg?__scale=w:500,h:397&_sh=0460cf0b80)
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