新型コロナウイルス禍を抜け出て成長回帰が期待された2022年、ロシアによるウクライナ侵攻で、世界の希望は打ち砕かれた。企業活動を支えるサプライチェーン(供給網)は混乱し、エネルギーや原材料の価格高騰が家計や企業に襲いかかる。東アジアは「台湾有事」という厄介な爆弾も抱えたままだ。コロナに苦しんだ日本企業は底を脱したが、高揚感はない。世界経済を揺るがしたリーマン・ショックから15年、我々は最悪の事態を想定し、備えねばならない。(写真=NiseriN/Getty Images)

(森 永輔、三田 敬大、酒井 大輔、鷲尾 龍一)

CONTENTS

PART1
日本を揺るがす米中対峙のシナリオ
台湾有事を直視せよ 人、物、カネ全部止まる

  • 識者に聞く❶
    ビル・エモット氏 [国際ジャーナリスト]
    ウクライナがロシアに勝利する

PART2
円安、消費低迷、テックバブル崩壊……
日本経済を取り巻くリスクを見過ごすな

  • 識者に聞く❷
    小林俊介氏 [みずほ証券 チーフエコノミスト]
    過度な円安は格差拡大を生む
  • 識者に聞く❸
    柯 隆氏 [東京財団政策研究所 主席研究員]
    中国経済、マイナス成長は回避
  • 識者に聞く❹
    イアン・ブレマー氏 [国際政治学者]
    米中の弱体化で混沌の時代へ

PART3
記者が展望、主要業種の2023年
高まるコスト、滞る消費 逆境が革新迫る

  • 1 自動車
    「造れば売れる」市場に景気後退の影
  • 2 家電
    電気代高騰、省エネが競争力左右
  • 3 鉄・非鉄
    鉄鋼業界は企業間格差が拡大する可能性
  • 4 ネット・メディア
    GAFAM、縮小均衡進む
  • 5 専門店
    苦しいコスト高、出店攻防で勢力図変わるか
  • 6 コンビニ
    日常使いに資す「コンビニエンス」を模索
  • 7 外食
    優勝劣敗が鮮明に ウィズコロナの外食産業
  • 8 銀行
    みずほを軸に「メガ再編」模索の兆し
  • 9 エネルギー
    電力有事、国が果たす役割大きく
  • 10 建設
    資材価格と人件費の上昇が不安材料

日経ビジネス2022年12月26日・2023年1月2日号 12~13ページより目次