情報管理の新たな手法であるブロックチェーン技術が各業界に広がっている。トレーサビリティー、流通取引や資産運用といった分野で利用が増加。関連市場が急拡大し、3年後には国内だけで7000億円超の規模になる見込みだ。

 バッジが運営するサイト上の発電所を「購入」すると、その発電所の二酸化炭素削減量の履歴を確認でき(右下、開発イメージ)、脱炭素化に貢献できていることを実感できる。中央はJERAがタイで所有する太陽光発電所。年内にも稼働し始める国内の太陽光発電所についてデジタルオーナーを募る。バッジの小林慎和社長(左上)は「脱炭素化の実現を1年でも早める力になれば」と話す(写真=左上:加藤 康)
バッジが運営するサイト上の発電所を「購入」すると、その発電所の二酸化炭素削減量の履歴を確認でき(右下、開発イメージ)、脱炭素化に貢献できていることを実感できる。中央はJERAがタイで所有する太陽光発電所。年内にも稼働し始める国内の太陽光発電所についてデジタルオーナーを募る。バッジの小林慎和社長(左上)は「脱炭素化の実現を1年でも早める力になれば」と話す(写真=左上:加藤 康)

 パソコンの画面上に並ぶ複数の太陽光発電所。その一つをクリックすると、価格が表示される。「現在の価格、1個8500円」。まるで物件情報を並べた不動産サイトのようだが、違うのは手の届きやすさだ。

CO2削減でマイルがたまる

 これはスタートアップのバッジ(東京・台東)が開発中のサイト。年内にも同社が運営を開始するサイトに日本最大の発電会社、JERAが出店料を払って発電所を「出品」。近く国内で稼働する太陽光発電所を掲示し、「デジタルオーナー」を募る。

 Web3の基盤であるブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いてNFT(非代替性トークン)を発行する。数千~1万個発行され、消費者は好きな数だけ購入できる。NFTの価値を決めるカギは、二酸化炭素(CO2)削減量。デジタルオーナーが「所有」する太陽光発電所の所有持ち分に応じて算出したCO2削減量などによりマイルがたまる。マイルは各社のポイントなどに変えられるようにするという。

 もっとも金融商品として見れば、高い魅力があるわけではない。「まずは、日本の人気アニメキャラとコラボし、関連グッズや特典が欲しいファンに購入してもらうことを考えている」とバッジの小林慎和社長は説明する。ふるさと納税でも入手できるようにするという。

 日本政府は2050年までに脱炭素化を実現すると宣言。JERAは多くの火力発電所を保有しており、CO2排出量は1社で国内の約1割に上る。地道なCO2削減の努力を続けているが、一般消費者に理解されにくい。

 購入者は日々の発電量やCO2削減量をスマートフォンで確認でき、ページを開けるたびにマイルが増加。CO2削減量は所有するNFTの価値にもつながる。きっかけは様々だが、消費者に仮想的なオーナーとして社会的意義を体感してもらうことで、JERAへの理解も深めてもらえる。

 バッジのサイトには、CO2削減に貢献できる資産なら太陽光発電以外の発電所や工場も「出品」できる。今関心を示している企業は、電力や製造、通信といった業種の約30社。「デジタルオーナーが100万人規模になればムーブメントが起きる」(小林社長)。経済合理性だけでは達成困難とされる脱炭素化も、一般消費者を巻き込めれば実現可能性が高まる。

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