(写真=菊池 一郎)
(写真=菊池 一郎)
伊藤穰一[いとう・じょういち]氏
デジタルガレージ共同創業者、千葉工業大学変革センター長
ベンチャーキャピタリスト。デジタルガレージの共同創業者で、デジタル庁のデジタル社会構想会議の構成員。2011~19年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長。ニューヨーク・タイムズ、ソニーなどの取締役を歴任。21年11月から千葉工業大学変革センター長。

 物に執着せず、環境問題などに強い関心を持つZ世代による社会変革と、ブロックチェーンという新技術の登場、インターネットの分散化。これらが同時並行で起こり、非中央集権的な方向性を目指すWeb3のムーブメントになっている。米国でヒッピーが盛り上がった1960~70年代のような文化的な側面もある。

 Web3の理念には、誰もが利用しやすい多様性を重んじ、公平な労働と資本の関係、SDGsや環境配慮など様々な要素が含まれている。

 Web3を支えるのがブロックチェーン技術だ。個人や組織が分散・自律的に動く経済圏を創り出すことができる。この経済圏はトークン(デジタル権利証)という価値が行き来する仕組みで、唯一無二性を証明するNFT(非代替性トークン)だけでなく、決済に使うペイメント、投票機能があるガバナンスなど様々なトークンがある。

 今後重要になるのが分散型自律組織(DAO)という新たな組織形態で、トークンホルダーである個人がプロジェクトに参加する動きが広がっている。Web1は情報を閲覧するReadの時代。Web2は投稿するWriteの時代だった。Web3はJoin。自らトークンを買ってDAOに参加したり、組織を起こしたりする。何かをつくる、やりたいという人にとってはとても役に立つ。

(写真=上・下:PIXTA、中:AFP/アフロ)
(写真=上・下:PIXTA、中:AFP/アフロ)

 DAOはゲーム上でプレーヤーが集まるギルドやオンラインコミュニティーの流れをくむこともあり、お金だけではない価値観を重視する特徴がある。電子メールやSNSが普及していったように、いずれWeb3も当たり前になっていくはずだ。Web3に慣れ親しんだ世代が組織の中で地位が上がれば、その考え方が実ビジネスにも影響するだろう。法律の位置づけがあいまいなWeb3の暗号資産などを含めて、国や経団連が落としどころを整理することが課題だ。

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