インド最大手のタタ製鉄、2位のJSWスチールはオーナー企業で意思決定が速いが「当社はまだ遅い」(橋本CTO)。知見を持ち寄る合議制の良さを生かしながらスピードを上げようと、ディリップ・オーメンCEO(最高経営責任者)らも必死だ。

2022年3月期は過去最高を記録した
2022年3月期は過去最高を記録した
●日鉄の海外グループ会社の事業収益
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 もっとも、買収から約3年がたち、押しも押されもせぬ日鉄の海外事業のけん引役となっている。AMNSIの21年12月期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は、前の期比2.8倍の19億9500万ドル。22年7~9月期もJSWなどが赤字に陥る中で、しっかり黒字を確保し違いを見せつけた。

鉄鋼市場は中国の減少とインドの増勢が鮮明に
鉄鋼市場は中国の減少とインドの増勢が鮮明に
●世界の鉄鋼需要の長期見通し 注:ウッドマッケンジーまとめ
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 世界鉄鋼協会によると、22年1~6月の64カ国・地域の粗鋼生産量は、中国の減産が響いて前年同期比5.5%減だったが、インドは8.8%増。需要を着実に取り込んでいる。

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この記事はシリーズ「沈まぬ日本製鉄 橋本改革、V字回復の真相」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。