新型コロナウイルス「第8波」と季節性インフルエンザの同時流行が近いという。発熱患者数の想定は1日に75万人。日本はこの感染大爆発に対処できるのか。国は第7波以降に医療負荷を減らす対策を取っており、対応の鈍さに懸念が残る。

(写真=左上:NIAID-RML/SCIENCE SOURCE/AFLO、左下:smartboy10/Getty Images、右:EPA=時事)
(写真=左上:NIAID-RML/SCIENCE SOURCE/AFLO、左下:smartboy10/Getty Images、右:EPA=時事)
[画像のクリックで拡大表示]

 「今冬、ピーク時には新型コロナの感染者数は1日45万人、季節性インフルエンザが同30万人に上ることも想定」──。

 10月13日、厚生労働省はひっそりと1つの会合をスタートさせた。「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」。今冬、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、さらに2020年以降発生が停滞していた季節性インフルエンザに大流行の可能性もあるとして、医療体制を強化しようという取り組み。メンバーは、日本医師会や日本感染症学会の専門家と日本経済団体連合会、全国知事会などだ。

 そこで厚労省が示したのが、新型コロナを含め1日で最大75万人の発熱患者発生の想定だ。新型コロナは、第7波で最も感染状況が悪化した沖縄県と同規模の拡大を、インフルエンザは最近5年で最大だった18~19年と同規模を想定したという。新型コロナだけで45万人という感染者数は、「第8波では第7波の2倍の感染者数もあり得る」とみた推定だ。

 この推定通りになるかはまだ見通せないが、既に第8波の予兆とも言えそうな動きは出ている。10月に入って新規感染者数の減少が止まり、13~19日の1週間で新規感染者数が前週比1.35倍に。まだ明確な増勢に転じてはいないが、「22年冬に流行拡大を起こすと想定するのは合理的」と西浦博・京都大学教授らは、厚労省の新型コロナウイルス対策専門家組織「アドバイザリーボード」の会合で見通しを表明した。年末から23年初めにかけて第8波に見舞われる可能性が否定できなくなっている。

 今、我々は何をすべきなのか。それを考えるために今年7~9月の第7波を振り返ってみよう。第7波では8月のピーク時、毎日のように1日当たり20万人を超える新規感染者が発生した。重症者数だけ見ても8月には1日当たり600人を超えた。

 「8月はうちの病院でもクラスター(感染者集団)が発生して本当に厳しかった。新型コロナ感染症患者が入院する2つの病棟で医師、看護師ら約60人のうち、二十数人が感染し、救急受け入れを1週間止めなければならなくなったほどだった……」

 8月の第7波ピーク時に1日当たり2万人前後が感染した大阪府。その大阪市中心部にほど近い北区天神橋の加納総合病院は、救急から重症・中等症の新型コロナ感染患者まで受け入れている。この病院を運営する協和会理事長で医師の加納繁照氏は、感染がピークに達した今年夏を振り返り、厳しい表情をのぞかせた。

院内クラスターも経験した加納総合病院を運営する協和会の加納繁照理事長(中央)(写真=太田 未来子)
院内クラスターも経験した加納総合病院を運営する協和会の加納繁照理事長(中央)(写真=太田 未来子)

 患者数の爆発的な増加の中で通常の医療と並行しながら必死の対応を続け、何とか乗り切ったというが、その一方で「これまでよりまだ対応はできた」とも話す。

 今夏の第7波は感染者数こそ急増したものの、重篤化する患者が激増した第5波、あるいは飲食店などに時短営業要請などを出せるまん延防止等重点措置を実施した第6波とは、感染防止対策や新型コロナの症状などが大きく変わったからだ。

次ページ 第7波は窓口が逼迫した