分析・予測 編
止まらぬコスト増 日本に打つ手はあるか

「もう販売価格への転嫁しかない」「将来への投資ができない」──。エネルギー価格の高騰で産業界が悲鳴を上げている。今夏、7年ぶりに全国規模で実施された節電要請は乗り切れたが、問題は冬だ。ロシアはサハリン2からの天然ガス供給途絶のカードを切りかねない。事態は不測の停電のみならず、過去に例がない「節ガス」要請に進む可能性も。日本にできることは何か。まずは原発再稼働に、慎重に真剣に取り組むべきだ。

レンゴーの八潮工場にある機械
レンゴーの八潮工場にある機械

 「製品の値上げは2月に続いて9月にも実施したが、想定以上の速さでエネルギーコストは上昇している。このままではコスト全体の5割近くに達しそうで、危機的状況だ」

 東京・品川駅近くにある、段ボール大手レンゴーの東京本社。柏木英之・製紙部門生産本部長はこう訴える。レンゴーが属する紙パルプ業界では、生産過程で大量のエネルギーを使う。同社が使う電力は、7割強を自家発電で賄い、3割弱を電力会社から購入する。電力会社に払う電気料金と自家発電で使う燃料、その両方で価格上昇が止まらない。

自家発電(左)を所有するが燃料の高騰が止まらず、柏木英之・製紙部門生産本部長(右)は「危機的状況」と話す(写真=右:加藤 康)
自家発電(左)を所有するが燃料の高騰が止まらず、柏木英之・製紙部門生産本部長(右)は「危機的状況」と話す(写真=右:加藤 康)

 生産コストに占めるエネルギーコストの割合は足元で3割。残りの7割は、段ボール古紙や生産過程で使用する薬品などだから、削減幅は限られている。「もはや自助努力でこの難局を乗り越えられない」と柏木氏は厳しい表情で言う。

企業のエネルギーコストは膨らんでいる
企業のエネルギーコストは膨らんでいる
●レンゴーの製品コストに占めるエネルギーコストの割合のイメージ

 2022年4~6月期決算の営業利益は前の期の3分の2となる77億円に減少。最大の押し下げ要因が38億円の増加となったエネルギーコストだ。早くから省エネ対策にも取り組み、経済産業省から、4段階ある達成レベルのうち最高の「Sクラス」を与えられている。省エネの努力は続けるが、その余地は狭まっている。

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