冬の到来を控えて、日本のエネルギー問題が風雲急を告げている。ウクライナ侵攻に対する西側の制裁に、天然ガス輸出の途絶をちらつかせるロシア。円安による燃料費高騰で電力料金が跳ね上がり、立ちすくむ企業や国民。目下、エネルギーの確保は薄氷を踏むがごとく、寒波や発電所の事故など不測の事態が起こればブラックアウト(全域停電)も現実味を帯びる。原子力や化石燃料への依存を下げ、クリーンエネルギーへとかじを切る崇高な目標はどこへ。数カ月先の安定供給さえ視界不良な、この国のエネルギーのリアルを追う。(写真=Wako Megumi/Getty Images)

(中山 玲子、小原 擁、小太刀 久雄)

CONTENTS

現場リポート 編
きしむ街、人、制度 課題の現場を歩く

CASE1
新潟県 阿賀野市
新電力の相次ぐ値上げ、破綻 電気代2倍となった遊園地の悲哀

CASE2
徳島県 海陽町
待ったがかかった風力発電 「環境のため」両立せずジレンマ

CASE3
福島県 飯舘村
被災地のエネルギー復興 バイオマス発電所、負担巡り紛糾

CASE4
北海道 寿都町
着地点見えぬ核ごみ問題 静かな漁業の町が分断された

分析・予測 編
止まらぬコスト増 日本に打つ手はあるか

PART1
膨らむエネルギーコスト
産業界を押しつぶす負担増 電力料金の上限見直しが始まる

PART2
ロシア産LNGが翻弄
寒波が来れば需給逼迫 現実味帯びる史上初「節ガス」

PART3
懸念は安定供給だけではない
国富流出が止まらない 原発再稼働で国は前面に立て

日経ビジネス2022年10月17日号 10~11ページより目次