上場企業の中にも債務返済能力に課題のあるケースが存在するのか。国際決済銀行(BIS)の定義を適用したところ、126社が該当した。外食や宿泊など、コロナ禍で大きな影響を受けた企業の苦境ぶりが目立つ。

コロナ禍で財務が傷んだのは中小企業だけではない。外出自粛による消費の低迷や、デジタルシフトを受けた産業構造の変化は、中堅以上の企業の業績にも影響を与えている。
上場企業は市場で資金調達できる強みを持つため、資本が分厚い傾向がある。第三者割当増資や劣後ローンなど、コロナ禍以降に資本増強策を実施した企業は多い。中小企業より多様な資本調達の選択肢がある。
上場企業の中に、債務返済能力に問題を抱えるケースはあるのだろうか。上場企業の開示データから調べることにした。
BIS基準でスクリーニング
指標としたのが、国際決済銀行(BIS)による定義だ。BISでは「設立10年超で3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオ(利払い負担に対する営業利益+受取利息・配当金の比率)が1未満にある企業」を「ゾンビ企業」と位置づけている。
[調査概要]
上場企業のうち会社設立から10年以上、直近の決算期まで3期連続ICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)が1未満の126社を抽出。TOKYO PRO Market上場を除く118社のうち8月19日時点の時価総額(発行済み株式数ベース)が20億円以上の92社を掲載した。業種は東証33業種分類。各種指標は直近の決算期末時点のもの。継続企業の前提に関する注記の有無は9月中旬時点。ICR=(営業利益+受取利息・配当金)÷支払利息・割引料、借入金依存度=有利子負債÷総資産×100、手元流動性比率=直近2期分の手元流動性の平均値÷(売上高÷12)。手元流動性は現金・預金+有価証券。QUICKや有価証券報告書などのデータを基に編集部作成。▲はマイナス。
この定義を基に、日本の上場企業約3800社をスクリーニング。プロ向け市場の上場銘柄を除き、時価総額20億円以上の会社を残したのが上表だ。財務の健全性を測るに当たり、資産全体に占める有利子負債の割合を示す「借入金依存度」や、何カ月分の売上高が手元にあるかを示す「手元流動性比率」も同時に示した。
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