企業の再生事業承継を支援するPMGパートナーズ(東京・新宿)が3月、ゼロゼロ融資を受けた中小企業の経営者1007人を対象にアンケートを実施すると、返済に不安を抱える回答が74.6%を占めた。

 「日々の資金繰りに充てていて返済できない」「返済が始まっているが、売り上げが下がり続けていて今後は分からない」といった声が相次いだ。返済のめどについては、「立っていない」との回答が32.3%に上った。

しがらみが多く身動きが取りにくくなっている
しがらみが多く身動きが取りにくくなっている
●不良債権を巡る銀行の苦悩

避けたい引当金かさ上げ

 市場から消える企業が増えていく兆候は既に出ている。全国信用保証協会連合会によると、代位弁済(企業が諦めた融資返済を保証協会が肩代わりすること)の件数は、7月に前年同月比で4割増えた。保証債務残高は7月時点で約41兆円。コロナ前(19年度)の約2倍だ。

 西日本のある県では、保証協会による代位弁済の件数が22年1~6月だけで21年全体の9割に達した。全国信用協同組合連合会の会長を務める広島市信用組合の山本明弘理事長は「これから代位弁済や倒産が増えていくのは間違いない」と話す。

 ゼロゼロ融資自体の破綻は、確かに代位弁済でカバーされる。ただゼロゼロ融資を受けた企業には、既に保証協会がカバーしない「プロパー融資」も受けているケースが多い。

 つまり代位弁済が実行されると、連動してプロパー融資も返済の見込みがない不良債権になる。金融機関にとって、それは貸倒引当金のかさ上げに直結する。ゼロゼロ融資の返済開始が、金融機関にとって収益悪化の引き金になる恐れがあるという構図になっている。

 金融機関にとって、融資先の支援策でまず浮上するのはゼロゼロ融資をプロパー融資に置き換える「借り換え」だ。金利や元金の返済条件を改めれば、企業にはビジネスを仕切り直す余裕が生まれる。

 しかし、ある地銀の幹部は「既にゼロゼロ融資を受けた企業の2割程度はゾンビ化している」と明かす。借り換えに頼るだけだと、苦境を打開できない企業が続出しかねない。

次ページ 赤字ビジネスにアクション