新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、国内外の観光産業に大きな打撃を与えた。この逆風下にあっても、日本政府は「2030年、訪日客6000万人」の目標を堅持している。海外では人の往来が戻り始め、“ニッポン開国”を心待ちにする人も増えているだろう。だが、少し待ってほしい。私たちは今後も「数」を追う観光を目指すべきなのだろうか。コロナ禍によるインバウンド消失は、オーバーツーリズムの弊害を再考する好機となった。労働力人口が漸減する我が国が実現すべき「観光再立国」の姿は、どうあるべきなのか。にぎわいが戻りつつある今こそ「質」を極め、唯一無二の観光強国に進化すべきだ。(写真=Hiroshi Watanabe/Getty Images、Anne Antonini/EyeEm/Getty Images、PIXTA)
(高尾 泰朗、奥平 力、神田 啓晴、中西 舞子、生田 弦己)
CONTENTS
PART1
「観光立国ニッポン」の光と影
各地に活気戻った夏 “開国”前夜、その宿題
COLUMN1
菅義偉元首相が歩んだ「観光立国」への道程
数ばかりを追ってはいけない
PART2
稼げる観光を実現するミッション
「数」の罠から脱却し「質」で客を魅了せよ
COLUMN2
「北海道知床沖観光船事故」の教訓
一度の事故で失った地域の信用