1997年がピークだった日本の外食市場。長らく縮小傾向にあったが、2010年代の反転で課題から目を背けてしまった。根本にある構造問題にどう対処するか。業界を挙げての変化が求められている。

(写真=左:読売新聞/アフロ、中央:毎日新聞社/アフロ、右=読売新聞/アフロ)
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 「日本で外食産業が新しい価値を生み出せたのは1970年ごろから10年間だけだった」(すかいらーく創業者の横川竟氏)

 「安価で潤沢な従業員を調達できた20世紀の外食モデルは終わった。産業全体で変革を起こさなければ、外食はもたない」(リクルート・ホットペッパーグルメ外食総研の竹田クニ研究員)

 外食業の行く末を危惧する声があちこちから上がっている。

 それもそのはず。外食業では不祥事が頻発している。回転ずし「スシロー」を運営するあきんどスシロー(大阪府吹田市)は2022年夏、度々の謝罪に追われた。まず、TVコマーシャルで売り込んだ商品をほとんど提供しないといった「おとり広告」で消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を6月9日に受けた。7月中旬には「ビール半額」キャンペーンの広告を店内に掲出しながら「未実施」として半額にしなかった店舗があったことが判明。返金対応に追われた。これで消費者の足が遠のいたのか、4~6月は前年同月を上回っていた国内のスシローの全店売上高が7月には前年同月比5.7%減となった。

 ほかにも、すかいらーくの「ジョナサン」店長による部下への傷害事件、「大阪王将」のフランチャイズ加盟企業が運営する店舗での不衛生問題、「木曽路」での長時間労働問題が浮上するなど、外食業の不祥事は枚挙にいとまがない。消費者の意識が少しずつ「ウィズコロナ」に変わり、外食店に足を運ぶ頻度を増やそうとする矢先に冷や水を浴びせてしまった。

顧客第一の姿勢見失う

 なぜ不祥事が続くのか。「人手が足りない」「利益率が低い」「競争が激しい」「はやり廃りが早い」……。外食店が置かれた難しい経営環境を言い訳にしながら「顧客第一」の姿勢を見失った結果だろう。外食の経営支援を手掛けるスリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎氏は「コンプライアンス、労働環境、組織管理、損益管理を、精神論で乗り切ろうとする経営者が多い」と指摘する。その原因を突き詰めると、2つの構造的な問題に収れんしていく。

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この記事はシリーズ「外食に未来はあるか 真の危機はコロナ後に」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。