短期間で生産ラインを作るのは容易ではない。そこで準備したのが超大型のテント。他拠点から人を送り込み、何日も徹夜して最終的に予定数の生産を達成した。「正直できるのか、とハラハラしていたがやりきった。ここまでリソースを投入してやり遂げられる経営者は普通いない」(山田氏)

 目的のため手段にこだわらないという点は常に一貫している。直販のテスラは引き渡しにも人員が必要だが、量産車の「モデル3」で生産量が上がるにつれ販売スタッフが足りなくなったときには、技術や経理、人事などあらゆる部門を総動員した。14年にテスラがEVの特許を全公開にしたのも「内部でも議論はあったと思うがEVを世の中に普及させるため公開に踏み切ったのだろう」(山田氏)と分析する。

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