欧米の自動車メーカーは大胆なEVシフトを進め、新興メーカーも多く生まれている。コストや量産のカベをどのように乗り越えようとしているのか。各社のトップに聞いた。

ボルボ・カー CEOジム・ローウェン

コストや設計、人材採用の面でEV専業化がベストの選択 VOLVO

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 ボルボ・カーは2030年までに全ての新車を電気自動車(EV)にすること、中間地点の25年までに50%をEVにすることを目指している。 迷いはない。投資や雇用、技術、設計など全てのリソースを完全電動化に費やすことに全力投球している。

 これは新たな才能を集めるのにも役立つ戦略だ。才能ある若い優秀な人材には、サステナブルな戦略を掲げ、明確な方向性を持った企業で働きたいという意向が強くある。こうした人材が既に集まってきている。

 EVだけでなく内燃エンジン(ICE)にも適した車を選ぶという中途半端な決断をすると、設計を一部妥協することになる。双方に使えるプラットホームを作る場合は、(EV一本化より)コストがかさむ。最適化が部分的にしかできない。完全電動化のインフラと車台のみに集中すれば、そうした課題を解決できる。

 電池などのコスト上昇に対しては、技術改善と量産効果により対応する。化石燃料の価格が上昇しており、EVの方がエンジン車より走行距離当たりのエネルギー費用は安くなっている。ユーザーが長くクルマを使うほどこの差は広がる。

 こうした背景からEVへの需要が非常に高まっていることを実感している。特にZ世代の人たちは、その前の世代よりずっとサステナビリティーを重視しており、EVシフトが加速するのではないか。

 将来的に、販売方法はディーラーを通じた販売とお客様への直接販売のハイブリッドモデルとなることは間違いない。当社が直接販売するケースが増えるが、サービスなどでディーラーの役割は引き続き重要だ。

 オンライン販売の知見を積むために、英国のカーワウという企業に出資した。英国では新車販売の13%、中古車販売の29%がカーワウ経由だと言われている。同社はまた、大人気のYouTubeチャンネルを持っており、出資を通じて非常に多くの学びと知識を得られた。

 高品質で人気のブランドが、3カ月や1年という期間でサブスクリプション制を提供するなら、顧客がオンラインで申し込みをする確率はずっと高くなる。若い世代が使えるお金は限られており、自分たちの交友関係を駆使してよりお得な購入方法を模索する傾向にある。口コミを頼りに、その世代はオンラインでサブスクを申し込むだろう。

 (親会社の)中国・浙江吉利控股集団との関係は大変良好だ。両社が協力関係を結んだ当初と、最近の株価を比べてみてほしい。吉利汽車と関係を築いてきたこの10年の間に、同社の株価は大幅に上がった。得られるだろう相乗効果は大変大きく、今後もそれを追求していく。(談)