世界有数の大都市・東京がビジネスで世界に後れを取っている。国の成長をけん引するユニコーン企業の輩出数が相対的に少ないのだ。成長企業を増やすために、どう動くか。「再起動」の舞台裏を追った。

 日本は経済大国だ──。そう言われて久しい。国内総生産(GDP)は2010年に中国に抜かれたものの、米国、中国に次ぐ世界3位を維持する。しかし、その経済規模とは裏腹に、一向に増えないデータがある。ユニコーン企業の数だ。

韓国の背中を追う日本

 ユニコーン企業とは、企業価値10億ドルを超える未上場企業のこと。ユニコーンという幻の生き物に例えられるほど、かつては珍しい存在だったが、年々増え続け、今や世界に1100社以上ある。

 22年6月下旬。米調査会社CBインサイツがまとめた「ユニコーン企業完全リスト」を眺めると、企業価値上位10社の輩出国は上から次のような顔ぶれだった。中国、米国、中国、米国、スウェーデン、オーストラリア、英国、米国、米国、英国……。

 Japan(日本)を探すも、なかなか見つからない。最初の一社が確認できたのは400位台に差し掛かったころだった。結局、1100社超が名を連ねるリストに日本のユニコーンは6社しか含まれていなかった。

 米国は600社を超え、中国は200社に迫ろうとしている。それに続くのはインド、英国、ドイツ、フランス、イスラエル。アジアではシンガポールや韓国が2桁に乗せ、日本の少なさが目立っている。

 勢いのあるスタートアップを生み続けられなければ、日本経済は早晩、尻すぼみになるだろう。その先に待つのは、新興国に追い抜かれる未来だ。最悪のシナリオを回避するには人材と資本が集まる首都・東京から変化を起こさなければならない。

 起業家を生み、育てるスタートアップエコシステムの構築へ。劣勢からの巻き返しに向け、東京のあちこちで「スタートアップ倍増計画」ののろしが上がっている。

「大人起業家」が集う日本橋

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 東京都心の日本橋エリア。江戸時代から五街道の起点として栄え、老舗企業が立ち並ぶこの場所が、「日本橋バレー」とも称されるスタートアップの街に若返り始めている。路地裏には、ここ5年ほどでスタートアップ向けのオフィスが急増。その大半を運営しているのが、日本橋を創業の地とする三井不動産だ。

 同社が「E.A.S.T.(イースト)構想」を発表したのは18年のこと。若き起業家たちが集まっていた渋谷や五反田、六本木など東京の西側に対し、日本橋を中心とする東京の東側を「国内最大のスタートアップ集積地に押し上げる」とぶち上げた。