ただでさえオフィス需給が崩れて供給過多になりかねない状況に、大企業によるオフィス縮小の波が押し寄せる。不動産のプロたちはこうした需給のアンバランスを「2023年問題」と呼んで警戒しているのだ。

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 実際、テナントとなる大企業はオフィス面積を抑えている。テレワークが浸透し、出社率を大幅に抑えたことで、「確保するオフィスの床面積を削っても問題ない」と気づいたのだ。働き方の“常識”も変わりつつある。NTTは6月、基本的な勤務場所を「自宅」などに定め、出社を「出張扱い」とする新ルールを発表した。事実上の通勤消滅だ。住設機器大手LIXILも8月の本社移転で、収容人数を現在の3分の1程度に減らし、オフィス面積を9割縮小する。

Chatwork(チャットワーク)は3月、東京オフィスを東京・港の「ウィーワーク」内に移転
Chatwork(チャットワーク)は3月、東京オフィスを東京・港の「ウィーワーク」内に移転

 本社の在り方も柔軟に変化する。ビジネスアプリ開発・運営を手掛けるChatwork(チャットワーク)は3月、シェアオフィス「ウィーワーク」に東京オフィスを移転。フロアの一部を専用スペースとして借り切り、オフィスの延べ床面積は移転前に比べ7割縮小した。シェアオフィスやコワーキングスペースなど、非伝統的なオフィスの拠点数は急増している。こうした考え方が主流になれば、オフィス需要は頭打ちだろう。

注:ザイマックス不動産総合研究所まとめ、東京23区内で集計。開業時期不明を含めると足元は1000件を超える
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 それでもなお、オフィスビルを開発するデベロッパーは強気だ。東京は英ロンドンや米ニューヨークに比べてオフィス空室率が低く、コロナ下であっても労働者の出社率は、国際比較で見れば高い。ミッドタウン八重洲の開発を主導する三井不動産は「引き合いはある。グランドオープンの23年3月までには埋まるだろう」と意気込む。

 確かに一等地のオフィスビルならば、何とかテナントを呼び込むことができるだろう。しかし、不動産関係者の声に注意深く耳を傾けると、2つの懸念が浮かび上がる。

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