経済安全保障推進法が成立した。しかし、その内容は政省令待ちで不透明なままだ。データ保護や人権をめぐる制裁など論争を招く案件は先送りされた。推進法は歴史的な一歩だが、日本の経済安全保障政策を取り巻く課題は目白押しだ。

岸田首相(右)は、経済安全保障推進法の制定を看板政策とした(左は小林大臣)(写真=読売新聞/アフロ)
岸田首相(右)は、経済安全保障推進法の制定を看板政策とした(左は小林大臣)(写真=読売新聞/アフロ)

 「いかなる状況にあっても、国民の命と暮らしを経済面から守り抜く。そのための重要な一歩を踏み出せた」。小林鷹之・経済安全保障担当大臣はこう語って胸を張った。

 2022年5月11日。この日は将来、日本の戦後史を語る上で欠かせない日の一つになるかもしれない。「経済安全保障推進法案」が参院本会議で可決され成立。日本の行政はこれまで、産業政策と安全保障政策を別個に扱ってきたが、この日初めて「両者が重なる部分」に踏み込んだ。

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