1976年前後に生まれ、IT(情報技術)業界で存在感を示す「76(ナナロク)世代」。氷河期にいったん就職するものの、閉塞感から飛び出して起業した人材が多い。経営者として活躍する3人に、同じ世代へ送るエールを聞いた。
氷河期世代といわれますが、実感はあるのでしょうか。
ビジョナル社長・南壮一郎氏:氷河期世代やロストジェネレーション(ロスジェネ)という言葉は自分たちの世代が言っているのではなく、上の世代が言っていることだと思うんです。一時の景気がよかったころを基準にして語られている。私は氷河期という世代の感覚を特別に持ってきたことはなく、目の前の環境の中を生き抜いてきただけですね。
マネーフォワード社長CEO・辻庸介氏:私の場合、就職はグローバルに進出している日本のメーカーにしようと考えてソニーに入社しました。入社してからは、バブル世代で上が詰まっているなというのは強く感じましたね。
SHIFT社長・丹下大氏:私は大学の時の就職活動で氷河期のつらさを結構、感じていました。会社の学生に対する目線は厳しかったように思います。「仕事ができないと許さないぞ」みたいな雰囲気でした。
特に理系で研究職を目指すとなると、大学院まで進まないと雇ってもらえず、11社くらいは落ちました。1次試験を通ったのは1社くらいです。「あれ、就活ってかなり厳しいな」と思いましたね。結局は大学院に進学し、金型分野の企業に入りました。
辻氏:同世代の鬱々とした空気は感じていましたよね。私たちの世代は閉塞感があると思います。

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