この記事は日経ビジネス電子版に『氷河期採用枠、倍率600倍 宝塚市に見る不遇世代の今』(6月9日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月13日号に掲載するものです。

平成不況が生んだ氷河期世代。十分なキャリアを積めずに中年を迎えた人も多い。政府が打ち出した支援も新型コロナウイルス禍がかき消してしまった。

バブル崩壊に、1990年代後半の金融不安も重なって就職氷河期は10年以上にも及んだ(写真=Fujifotos/アフロ)
バブル崩壊に、1990年代後半の金融不安も重なって就職氷河期は10年以上にも及んだ(写真=Fujifotos/アフロ)

 倍率600倍という数字ほど、この世代が置かれた厳しい境遇を物語るものはないだろう。兵庫県宝塚市が2019年に全国に先駆けて、氷河期世代を対象にした職員採用試験を実施したところ、3人程度の採用予定枠に、北海道から沖縄まで1800人以上から応募が殺到した。

 氷河期世代とは、バブル崩壊後の景気低迷期に企業が新卒採用を抑制した1993~2004年ごろ、社会に出た世代を指す。00年には、就職を希望しながら決まらないまま卒業した「未就職卒業者」が12万人に上った。非正規でキャリアをスタートせざるを得なかった人も多いが、08年のリーマン・ショック時には雇い止めも相次いだ。

 十分な職歴を積めないまま年齢を重ね、10年代に経済が上向き始めた頃には、正社員への転職は困難になっていた。大半が不況だった平成という時代に翻弄され続けた。

200社近く受けたものの……

 住まい政策課で働く長沼李果さん(38)は、22年4月に氷河期枠で宝塚市に入庁した。19年の採用試験にも申し込んでいたもののかなわず、21年実施の試験で合格を手にした。最初より落ち着いたとはいえ、倍率は90倍近くの狭き門だった。

 04年に短大を卒業した長沼さん。インテリアを専攻していたことから、建築関係を志望して就職活動をしたが、50社以上受けても内定は得られなかった。

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