国家公務員の働き方や風土改革に必要な要素は何か。どこをどう変えるべきなのか。国家公務員制度担当相を務めた河野太郎衆院議員、2021年に人事院総裁に就任した川本裕子氏に聞いた。

河野太郎[ 衆議院議員、前国家公務員制度担当相 ]
出戻り人材、同期より上のポジションで処遇する姿勢を

河野太郎(こうの・たろう)氏
衆議院議員、前国家公務員制度担当相
米ジョージタウン大学卒業。富士ゼロックスや日本端子を経て、1996年衆院選で神奈川15区から初当選。2021年までに9回の当選を果たす。17年外相、19年防衛相。20年9月からは行政改革担当、国家公務員制度担当、内閣府特命担当相(規制改革・沖縄及び北方対策)を務めた。(写真=吉成 大輔)

 国家公務員採用総合職試験の申込者数が、今年度は6年ぶりに増加しました。ただ新型コロナウイルスの感染拡大がどう影響したか分からないし、そもそも霞が関全体の雰囲気はそれほど改善していません。働き方を含め霞が関の改革を阻害しているのは管理職です。自身のやり方に固執し変化を嫌う人が多いため、組織風土をガラッと変える必要があります。例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)は局長クラスの意欲が低い省庁ほど進んでいません。

 霞が関に良い人材が集まらずに劣化が進んだ実害はすでに出始めています。新型コロナウイルスのワクチン接種の取り組みは、スピード感や判断のあり方において問題が多かったですし、空港での感染防止対応はかなり遅いものでした。感染者の発生届だって、いまだに手書きのファクスで送るケースが残ったままです。

 また優秀な人ほど霞が関を去るのは、最近まで残業代も支払われなかったような環境で、キャリア形成の先が読めないからでしょう。民間だと高収入を得られるのに、薄給のブラック職場で働いていたわけです。非効率な国会運営を続けてきた政治の貧困ぶりを猛省しています。

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