37年にわたって日清食品グループのトップを務めてきた宏基氏。創業者が生んだブランドを育て、それを乗り越える新ブランドも生もうとしてきた。それだけではない。創業者の魂の「仕組み化」にも心血を注いだ。

(写真=北山 宏一)
(写真=北山 宏一)
安藤宏基(あんどう・こうき)氏
日清食品ホールディングス社長・CEO(最高経営責任者)
1947年生まれ。創業者である安藤百福氏の次男で、日清食品の安藤徳隆社長の父。71年に慶応義塾大学商学部卒業。73年に日清食品に入社し、米国日清取締役に就任。74年から海外事業部長、開発部長を歴任し、76年に初代のマーケティング部長に就いた。「焼そばU.F.O.」や「どん兵衛」などの開発を主導する。85年に日清食品社長就任。2008年の日清食品HD設立に伴い同社社長・CEOに就任。「カップヌードルをぶっ潰せ」と社内に檄(げき)を飛ばし、父である百福氏と時に衝突しながらブランドや商品を拡充してきた。広告戦略にも定評があり、1997年にカンヌ国際広告映画祭で「ADVERTISER OF THE YEAR」を受賞。2005年に藍綬褒章を受けている。

日清食品グループの経営トップに就任して37年。どんな会社に育てたいと考えてきたのですか。

 企業の進化や存続は消費者の評価に懸かっています。良いものを提供すれば消費者に買ってもらえる。すると企業が成長する。その循環を繰り返してきました。

 環境の変化に適応して「消費者にとってもっと良いものがあるんじゃないか」と進化を続けることが大事です。「カップヌードル」だって進化しなければ淘汰されてしまう。それで「カップヌードルをぶっ潰せ」などと言ったものだから創業者と大げんかになった(笑)。

 でも、その前提には「カップヌードルは最強」という思いがあるんです。「どん兵衛」や「焼そばU.F.O.」などの商品を開発した私にしてみれば、生み出した商品を育てるにはカップヌードルをぶっ潰すぐらいの気概が必要だった。

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