行動経済学をビジネスの現場で有効に実践するにはどうすればいいか。博報堂コンサルティングの楠本和矢氏が架空事例を示してくれた。様々な理論を駆使して、後発からのシェアトップを狙おう。

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「メンズフェイシャルケア」市場に、 老舗企業が新規参入

我が社は、老舗の男性用トイレタリーメーカー。自社の研究施設で蓄積したノウハウを基に新規分野へ参入することになった。ライバルは高感度なデザインが特徴のブランドだ。商品は、肌のツヤを出しアンチエイジング効果のある、フェイシャルクリーム/スプレー。販売チャネルは当面、通販主体だ。ターゲットは「30代の、仕事も遊びも充実させたい、社交的なビジネスパーソン」。価格帯は月額1000~2000円程度だ。

 これまで多くの理論を学んできた。ではそれを実践でどう活用すればよいのか。行動経済学に関する書籍も出す博報堂コンサルティングの楠本和矢氏が、架空の商品のマーケティング戦略例を示してくれた。あなたならどの理論を使ってシェアトップを狙うだろうか。

楠本和矢
楠本和矢
博報堂コンサルティング執行役員。HR Design Lab.代表。神戸大学卒。丸紅で新規事業開発業務を担当し、外資系ブランドコンサル会社を経て現職。

 後発なだけに、定番のマーケティングだけでは訴求力が弱そうだ。会社自体の認知度はあるが、「通販専用商品」で、従来の取引関係を生かした店頭露出もできない。

 最初に考えたいのは、今までフェイシャルケアに関心がなかった人たちにきっかけを与え、ニーズを新たに生み出す仕掛けだ。ケアのメリットを伝えるだけでは、当たり前の内容になってしまう。ここは「今生じている損失」を意識させよう(損失回避バイアス)。

 例えば、ケアをしていないことで、必要以上に肌の老化を招いている現象を「オーバー・エイジング」という言葉にしてはどうか。本質的に同じ内容だとしても、見方を変えてメリットではなくリスクとして伝える方法だ(フレーミング効果)。

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