この記事は日経ビジネス電子版に『1年たたずにまた値上げ 立ち食いそばが1000円になる日』(5月10日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月16日号に掲載するものです

ロシア産そばの供給減ばかりではない。あらゆる原材料が値上がり中。「1年たたずまた値上げ」。東京・日暮里の立ち食いそば屋が悲鳴を上げる。

日暮里の立ち食いそば「一由そば」は前代未聞の原材料高に苦しんでいる。名物の太蕎麦にジャンボゲソ天を載せてもワンコインに収まるが、コスト増で人気商品も値上げせざるを得ない
日暮里の立ち食いそば「一由そば」は前代未聞の原材料高に苦しんでいる。名物の太蕎麦にジャンボゲソ天を載せてもワンコインに収まるが、コスト増で人気商品も値上げせざるを得ない

 「そばを普通盛りにゲソ天をトッピングして」。4月下旬の昼下がり、日暮里駅東口前にある24時間営業の立ち食いそば屋「一由そば」には、幅広い年代の客層がひっきりなしに訪れていた。建設現場に出る前の職人、学生、タクシー運転手や運送ドライバー。注文してすぐ出てくるので客の回転も速い。

 温かいそばは230円(税込み、以下同)、半分の量の小盛りなら120円で食べられる。コシが強い田舎風が評判の名物「太蕎麦」に、ゲソ天、半分の紅ショウガ天を載せても価格は490円とワンコインでお釣りが来る。立ち食いそばファンは「都内一安い」とも称する。だが「早い、安い、うまい」を信条にしてきたこの繁盛店がかつてない難局に直面している。

たかが10円されど10円

 「揚げ油を値上げします、という連絡がつい最近来ました」。一由の山本耕平社長は「大豆油の業務用一斗缶値上げのお知らせ」と書かれた1枚のファクスをじっと見つめる。「最近は問屋やメーカーから『毎月のお便り』みたいに届きます」と諦め顔だ。

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