フジはイオンと18年に資本業務提携し、商品の共同調達や、電子マネーWAON(ワオン)の導入などで連携してきたが、「これ以上の成果を出すには、一緒にならないと難しい」(フジの尾﨑英雄会長)との判断に傾いた。「中四国でナンバーワン」を目指して出店を増やす計画だ。

イズミ「出店、M&Aさらに」

 瀬戸内海をはさんで、イオングループとイズミがにらみ合う。現在のところ重なっている出店地域は小さく、すぐにイオンとフジの統合がイズミに影響を及ぼすかは分からない。しかし、この先は必ず激突する。イズミは31年2月期に営業収益1兆円の達成を目標に掲げている。中四国・九州エリアを軸に300店舗体制を目指し、これから100店舗ほど上積みする計画だ。専務執行役員の町田繁樹氏は「ポイントとなるのはやはり出店とM&A」と明言する。フジ・イオン連合とは、中四国エリアの新規出店で競合するのは避けられない。

 さらに関西方面でぶつかる展開もあり得る。マックスバリュ西日本は兵庫県に95店舗を構える(22年2月末時点)。イズミも兵庫県姫路市と丹波市に「ゆめタウン」を運営。うち「ゆめタウン姫路」は18年、西友の店舗を引き継ぐ形で開業した。町田氏は「兵庫県でM&Aの提案をもらうことが増えた。いい物件があればやっていく」と語る。フジ・イオン連合とイズミ・セブン連合。2大勢力を軸とした寡占化が急速に進みそうだ。

 イオンでも、セブン&アイでもない。全国の独立系スーパーの結集軸となろうとしている勢力がある。新日本スーパーマーケット同盟だ。

 北海道・東北を中心とするアークス、中部地盤で関西にも店舗を広げるバローホールディングス、九州・中国地方を開拓するリテールパートナーズの3社が資本業務提携し、18年12月に発足した。3社の合計売上高は約1兆5000億円に上り、イトーヨーカ堂を上回る。

新日本スーパーマーケット同盟がオリジナルの味付けをした米粉スナック「ふわっと」(写真=吉田 サトル)
新日本スーパーマーケット同盟がオリジナルの味付けをした米粉スナック「ふわっと」(写真=吉田 サトル)

 3月、札幌市のスーパーアークス山鼻店を訪れると、「新日本スーパーマーケット同盟」と書かれた商品が並んでいた。岩塚製菓の米粉スナック「ふわっと」の袋上部に、同盟3社の名がロゴとして記されている。ラインアップは北海道の味(とうきび味)、東海・北陸の味(白えび味)、九州・中国の味(ごぼう味)の3種類。同盟としてオリジナルの味付けをした商品だ。

個性を生かしながら原価低減

 同盟の目的はコスト削減にある。カニクリームコロッケの開発から、北海道礼文島のホッケの調達まで──。出店地域がかぶらない“不可侵同盟”だからこそ、利害関係を超えて協力できる。この3年間の共同仕入れ額は241億円、原価低減額は12億3000万円に上る。

 アークスの横山清社長は「イオンのPBは強い。ナショナルブランドの仕入れ原価をいくら頑張って下げてもかなわない」と話す。ただ「消費者が求める価格帯で提供していくにはローコストにするにしかない」とも強調し、「同盟で一緒になって地道にPBを開発していけば、各社の個性を大切にしながら、原価を減らすことができるはずだ」と語る。

 今後、キャッシュレス決済対応のレジやデジタルサイネージ(電子看板)、電子棚札の共同導入、物流の効率化などでも協力し合い、さらなるコスト削減を目指す。横山氏はイオンへの対抗を念頭に置きながら、「同盟を結ぶ相手として、関東のスーパーなども出てくるだろう。最終的には5社ぐらいのネットワークになるかもしれない」と語っている。

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