この記事は日経ビジネス電子版に『群雄割拠のスーパー イオンも必死、対抗軸はセブン連合か独立同盟か』(4月14日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月18日号に掲載するものです。

人口減少によって今後約40年で日本の“胃袋”は11兆円分縮む見込みだ。大手スーパーは規模拡大のメリットを追求、合従連衡が加速していく。出店地域が重ならない企業の同盟も進み、食うか食われるかの緊迫状態が続く。

 戦国武将に例えれば、毛利元就だろう。広島県で生まれ、一代で中国地方全土を手中に収めた豪傑である。その毛利氏の歩みと重なる企業がある。イズミだ。広島市に本社を置き、衣食住全般を扱う総合スーパーの「ゆめタウン」などを展開、営業収益6797億円(2021年2月期)を誇る。

 創業者は山西義政氏。終戦間もない1946年、広島駅前の闇市で干し柿を売る露店を始め、そこから中国、四国、九州と店舗網を広げていった。セブン&アイ・ホールディングスと2018年に業務提携し同社のプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の販売などで協力している。

(写真=右上:アフロ)
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 そのイズミに対峙する勢力が現れた。イズミ側から見ると瀬戸内海をはさんだ向こう。愛媛県に本社を置くフジが21年9月、イオン系のマックスバリュ西日本(広島市)との経営統合を発表した。両社の営業収益を単純合計すると8785億円(21年2月期)となり、イズミを大きく上回る。

 マックスバリュ西日本は21年3月にマルナカ(高松市)、山陽マルナカ(岡山市)を吸収合併したばかり。度重なるM&A(合併・買収)によって5000億円企業にのし上がり、さらにフジとも統合することで、一躍、中四国の新盟主に名乗りを上げた形だ。フジは22年3月1日付でイオンの連結子会社となり、同時にフジの事業を引き継いだ新事業会社の「フジ・リテイリング」と、マックスバリュ西日本を傘下に持つ共同持ち株会社制に移行した。

 フジがイオングループ入りを決断したのは、人口減少や少子高齢化によって市場の縮小が避けられない現実があるからだ。日経ビジネスの試算では、外食を含む日本の食料総支出額は20年の44兆円から、60年には33兆円に縮む。消える11兆円は、スーパー業界の年間販売額15兆円に迫る。今後約40年間で、業界が消えかねないほどのインパクトがあるのだ。

(写真=PIXTA)
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 スーパー業界は一般に薄利多売で利益率が低い。近年はドラッグストアなど他業態の攻勢にさらされている。新型コロナウイルス禍によるライフスタイルの変化や、デジタル化への対応も急務だ。激動の時代に生き残るため、大手は規模を拡大し、経営の体力をつけようと必死だ。

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