この記事は日経ビジネス電子版に『1000人調査 社員は「転勤命令」をどう受け止める 懸念は家族』(4月4日)、『70社の人事に聞く「わが社が転勤制度を見直す理由」』(4月5日)などとして配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』4月11日号に掲載するものです。

1000人の生の声
1000人の生の声
【調査概要】 調査名:転勤に関するアンケート、調査時期:2022年2月18日~3月18日、調査対象者:一般外部モニター(調査協力:クロス・マーケティング)、日経BPのウェブメディア読者、調査方法:ウェブフォーム、回答者数:1033人
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 子どもが生まれて、家を買い、楽しく過ごしていたら転勤辞令。悩んだ末に退職した」「転勤を機に転職を考え、半年後に実行した」──。日経ビジネスがビジネスパーソンに行った「転勤に関するアンケート」で、転勤命令は退職や転職を検討するきっかけに「なる」「どちらかというとなる」と回答した人は47.4%で、「ならない」を上回った。自由回答ではライフイベントに合わせてやむを得ず単身赴任を選んだという声も多く、転勤が人生に与える影響は大きい。

 一方で、実際に転勤を経験した人の7割弱は満足していると回答。それらの多くは理由として「キャリアアップにつながった」「心機一転できた」「経験を積んでスキルが身に付く」などを挙げている。

 対して不満だった人は「単身赴任で家族と離れた」「家族を振り回してしまった」など家庭を気にする意見が多い。家庭関連以外では、「以前と業務内容が変わらないのに転勤は必要だったのか」と転勤の目的を疑問視する声もある。

 転勤への意向は、ライフステージに左右されやすい。会社を選ぶときに転勤の有無を判断材料にした人は4割弱、しなかった人は約6割。就職時は気にならなくても、結婚・出産などライフステージの変化に応じて転勤する意欲が下がる傾向がみられる。

 「20代で地方転勤を経験し、仕事は大好きだったが、今後の人生で転勤のたびに家族を振り回すことはできないと思って転職した」「20代は転勤含めていろいろ経験したいと思っていたが、30代になると親が高齢化していることもあり、嫌になった」などの声があり、企業は働き方を適宜見直せる制度を設けることが従業員をつなぎ留めるために重要となる。

 JTBでは多様な働き方を推進する一手として、2020年10月から「ふるさとワーク」を導入している。転居を伴う辞令が出ても、生活の拠点として登録している自宅からテレワークできる制度だ。

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多様な働き方、カギは在宅勤務

 単身赴任でも訳あって転居できなくても「転勤」を受け入れやすくするものだが、22年3月時点でこの制度を利用しているのはわずか35人。業務内容によっては適用できないという課題も残る。制度設計は容易ではない。

 カギとなるのは在宅勤務の浸透だ。アンケートでは、「リモートワークの一般化を機に、転勤を減らすべきだが残してもいい」と回答した人は56.2%を占める。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、急速に拡大したリモートワーク。この流れがポストコロナ社会でも継続されるかどうかが、転勤を含めた人材マネジメントや制度見直しの要となるだろう。

1033件の回答が集まった転勤アンケートの全容は電子版記事でご覧ください。