この記事は日経ビジネス電子版に『「XXハラ」増殖のニッポン、ハラスメント大全を公開』(3月16日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月21日号に掲載するものです。

日本には一体何種類のハラスメントがあるのか。パワハラは和製英語で、英語では「Workplace Bullying(職場のいじめ)」があるが、これは上下関係に限らない。「XXハラ」が増殖しているのは略語が多い日本語ならではと言えそう。50種類以上あるともされる日本のハラスメント用語を解説する。

パワー

 地位、知識、集団といった「力」を使ったハラスメント。職場で起きる事例が特に多い。代表例が「パワハラ」。これらはその派生とも言える。

【マタハラ、パタハラ】
 マタニティハラスメント、パタニティハラスメント。前者は職場での妊娠、出産にまつわるハラスメント。例えば、出産前に管理職だったのに育休取得後に復職すると降格させられたといった事例。後者は男性社員が育休を取得する際に嫌がらせや退職勧奨を受けたりするケースが当たる。

【リモハラ、ズムハラ】
 リモート(リモートワーク)ハラスメント、ズームハラスメント。在宅勤務時やリモート会議でのハラスメント行為などがこれに当たる。パワハラだけでなく、女性社員の背景に映る部屋を指して「かわいらしいね」と性的な嫌悪感を持たせるといった在宅勤務時のセクハラもこれに当たる。

【ソーハラ】
 ソーシャルメディアハラスメント。インターネット上での中傷もこれに含まれる。ツイッターでの「炎上」やチャットアプリでの「中傷」などSNS(交流サイト)が現場となることが多い。2020年には女子プロレスラーの木村花さんがSNSの中傷コメントを受けて亡くなったことで大きく注目された。

【オワハラ】
 就活にまつわるハラスメントの一種。企業が内々定や内定を学生に出す際に「就活を終わらせる」ことを迫る言動を指す。近年は就活生もインターネット掲示板やSNSを通じてこうした情報に敏感になっている。

【カスハラ】
 カスタマーハラスメント。顧客からの迷惑行為や悪質なクレームを指す。例えば、小売店の従業員のミスを顧客が執拗に責め立てて、土下座を強要するといったケースはこれに当たる。

【コロハラ】
 コロナ禍にまつわるハラスメント。緊急事態宣言の適用された地域から来た人を差別する行為(例えば、県外ナンバーの車への嫌がらせ行為など)といったコロナ禍に関連した嫌がらせを指すことが多い。

【ジタハラ】
 時短ハラスメント。仕事の量が増えているにもかかわらず社内での残業を許さないといった言動を指す。「働き方改革」への意識が高まる中で注目されるようになったハラスメントの一種だ。

【シルハラ】
 シルバーハラスメント。高齢者家族の介護拒否、介護放棄や高齢者福祉施設での虐待行為といったものを指す。1990年代に大きく報道された記録があり、社会的な注目を浴びていたことがうかがえる。

【スクハラ】
 スクールハラスメント。例えば、中学・高校の部活動で教員から学生への体罰など。進路や部活動での指導を巡っては、教師の対応で生徒が自殺を図ってしまうこともあるが、これらもスクハラの一種と言える。

【エンハラ】
 エンジョイハラスメント。過度に「仕事を楽しもう」といった楽しさの押し付け、強要を指すことが多い。「仕事は楽しい」とは考えない人もいるので、主観の過剰な押し付けは多様性の否定にもなりかねない。

【テクハラ】
 テクスチュアルハラスメント、テクノロジーハラスメント。前者は「男性的」「女性的」など文章に関する偏見や嫌がらせ。後者はITリテラシーの低い人に対し「こんなことも分からないのか」となじる言動などを指す。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1950文字 / 全文3506文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「パワハラ大国ニッポン」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。