岸田文雄政権は「成長と分配」を掲げ、企業に賃金引き上げを迫る。日本全体の賃金が底上げされなければ、経済は縮小に向かうからだ。賃上げ率が3%以上なら、税金を安くする政策も用意した。だが、春季労使交渉(春闘)が山場を迎える企業には慎重な声も多い。有力企業の交渉が他企業に波及する流れも、後退するばかりだ。漂流するニッポンの賃上げを追う。(写真=札束:アフロ、岸田首相:Pool/Getty Images)
(武田 安恵、奥平 力、高尾 泰朗)
CONTENTS
PART1
山場を迎える春季労使交渉
「実質賃下げ」の加速 コスト高で現実味
INTERVIEW
宮沢洋一自民党税制調査会長に聞く
「新しい資本主義」、本命は基本給
PART2
上場250社、独自調査ランキング
賃上げ余力が大きい会社はどこだ
PART3
岸田首相肝煎りだが……
つまずく分配政策 上がらない給料の謎
INTERVIEW
小川賢太郎ゼンショーHD会長兼社長に聞く
「2030年まで毎年ベア」の真意
PART4
「稼ぐ力」は社会全体で高める
人的資本の強化 賃上げの起点に
INTERVIEW
課題山積、ニッポンの賃上げ 識者3人に聞くあるべき姿