この記事は日経ビジネス電子版に『米コンビニ巨額買収の真の狙い 「セブン」のモデルは世界で磨く』(2月7日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月14日号に掲載するものです。
2兆円超を投じて約3200店舗の米コンビニ大手を傘下に収めた。日本のコンビニモデルを移転して利益を上げることだけが狙いではない。目指すは世界各国で流通革新を起こす真のグローバル企業への進化だ。

「ピンポーン」。ドアを開けると、米国では聞き慣れない効果音が鳴った。日本でおなじみの音階ではないものの、どこか日本を思い起こさせる。ここは米テネシー州ナッシュビルの中心街からクルマで南東に1時間ほどの場所に立つ米セブン-イレブンの「モデル店」。米国に多い、ガソリンスタンドに併設されたコンビニエンスストアだ。
広々とした店内にはファストフードのカウンターが2つ並ぶ。タコスなどメキシコ料理を提供する「Laredo Taco」とフライドチキンなど米南部料理を振る舞う「Raise the Roost」だ。窓際の見晴らしの良い場所には十数人分の広いイートイン・スペースがあり、コンビニというよりドライブインに近い装いだ。

店内調理のフレッシュフードは利益率が高い。全米約500店に同様の店舗を展開するセブン-イレブンは2025年までにさらに2000店にファストフードを導入する計画だ。
「商品を選びやすい」
コンビニに欠かせない商品も勢ぞろいしていた。ホットコーヒーやソフトドリンクを注げるドリンクコーナー、ローラーの上でクルクル回転する温かいソーセージ、冷蔵ショーケースに並ぶ色とりどりのサラダ……。この場所まで記者を連れてきてくれたウーバー運転手の初老の女性は店内を見て「とても清潔ね。陳列も整然としていて商品を選びやすい」と印象を語った。
米国はよほどの都市部でない限り生活にはクルマが不可欠だ。米調査会社IBISワールドによると、米国のガソリンスタンド併設型コンビニの市場規模は22年に4698億ドル(約54兆円)の見込み。過去5年の年平均成長率は3.1%で、米全体の産業のそれを上回る。
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