ここまで10の事業分野で顧客推奨度(NPS)のランキングを見てきた。PART4では、この指標を重視し、経営に取り入れている事例を紹介する。重要なのは、改善を重ねること。ファンづくりは、一朝一夕で終わらない。

 NPSは単なるアンケートではない、業績に直結する指標だ──。そのことを突き止めた外食店がある。トリドールホールディングス傘下で、全国に約840店舗を展開しているうどんチェーン、丸亀製麺だ。約6年間、NPSの変動を追い続けた結果、確かな法則を見いだした。

 「NPSと客数には明確な相関関係がある。それはもうデータで示されている」。同社執行役員CMO(最高マーケティング責任者)の南雲克明氏は明言する。

スコアと客数に相関関係

 「NPSが1ポイント上がれば、全店合計で年間10億円以上売り上げが増える」。逆に1ポイント下がれば、それだけ業績が下振れする。だからこそ、NPSをKPI(重要業績評価指標)として定め、マーケティングと営業で連携して店舗ごとにスコア向上を目指してきた。

 丸亀製麺では、うどんを1杯注文するごとに「うどん札」という券が1枚もらえる。ここにQRコードを印刷し、スマートフォンで読み取ってもらう形で、アンケートを回収している。最後まで答えると「うどん100円引きクーポン」がもらえることもあり、毎月、全国で数万人程度の回答が集まってくるという。

 アンケートではまず、利用した店を選択し、その店をどの程度友人や家族に薦めたいかを0~10点で評価する。さらに「商品の品質」「接客やサービス」「清潔さや衛生面」についてそれぞれ「どの程度ご満足されましたか?」と問い、「当店を次回も利用したいと思いますか?」と続く。

 NPSに加え、品質、サービス、清潔さ、再来店意向という5つの数値を店ごとに集計し、毎月追うことで来店客の評価を数値化している。

 これにより、見えてきたことがある。NPSスコアの上げ方だ。「(うどんの味など)品質を高めれば、推奨者が増え、結果、顧客の来店意向が高まる。サービスと清掃をきちんとやれば、批判者が減り、結果、離反顧客が減る」と南雲氏は説明する。例えば、NPSが大幅にマイナスの店舗があったとして、その原因が品質なのか、サービスなのか、清潔さなのかを分析して見直すことで、NPSを高め、客数向上につなげている。

<span class="fontBold">丸亀製麺はファンコミュニティー「丸亀うどん学級」を立ち上げた。うどんの味を1人で守る「麺匠」を講師に迎え、うどんの奥深さを伝えるウェビナーなどを開催した</span>
丸亀製麺はファンコミュニティー「丸亀うどん学級」を立ち上げた。うどんの味を1人で守る「麺匠」を講師に迎え、うどんの奥深さを伝えるウェビナーなどを開催した

 「『ターゲットボリューム×認知×ブランド選好性=客数』。これが丸亀製麺のマーケティングロジックだ」と南雲氏は明かす。テレビCMやPRによって認知度を高めるだけでは十分でない。ブランド選好性、つまり選ばれる確率を引き上げないと、客数は増えていかないという理屈だ。そのブランド選好性に関わる重要指標の一つが、NPSということになる。

 NPSの低下は、経営を揺るがしかねない問題だ。だからこそしっかりと分析し、事業の改善に生かす必要がある。そう捉えている企業は他にもある。

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