小売り・サービス企業の多くは新型コロナウイルス禍によって経営が悪化した。改めてファンの存在の大きさに気づいた企業も少なからずあるはずだ。コーヒーチェーン2位のコメダ珈琲店もそう考えるからこそ、顧客との絆づくりをやめない。

8.コーヒーチェーン
コロナ禍でも一体感 「おうちコメダ」盛況
(写真=SOPA Images/Getty Images)
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 競合ひしめくコーヒーチェーン業界では、顧客推奨度(NPS)で米国のスターバックスコーヒーが首位となった。愛される理由として、家でも職場でもない「サードプレイス」というコンセプトがある。来店客に「心地良い体験」を提供することを最優先に考え、接客マニュアルに頼らず、従業員一人ひとりが来店客の気持ちを察して応対することに力を入れている。

 外資系でありながら、地域に溶け込もうとする姿勢も好感を持たれる要因だ。店舗数は2021年9月末時点で1685店と業界一多いが、それだけでなく、地域ごとの歴史や文化を取り込んだ個性的な店舗をオープン。21年は地域の従業員が考案した都道府県ごとの独自のフラペチーノを販売して話題を集めた。

 スタバに続いたのが、コメダホールディングス(HD)運営のコメダ珈琲店だ。19年に47都道府県への出店を達成。16年の700店舗から、21年11月末には900店超まで増やした。スタバやドトールコーヒーショップのセルフサービスと違うフルサービス型で、昔ながらの喫茶店に近い。

 他社と比べた特徴は、顧客と一体で市場を創造する取り組みにある。顧客との接点を持つことによって、参加意識の強いファンを生み、そのファンが別のファンを連れてくる好循環を期待できる。

 コメダは17年に会員組織「コメダ部」を発足させた。「コメダ好きの消費者と商品づくりができれば面白いのでは」という軽い考えだった、とコメダHDコーポレートコミュニケーション室の伊藤綾子氏は話す。2~3カ月に1度、新メニューを試食してもらった。「見た目が少し寂しい」「男性には少し食べにくいのでは」。様々な意見が出るようになった。

 ところが部員は800人ほどまで増えた。歓迎すべきだが、月1回の対話に呼べるのは抽選を通った15~20人。そこで、もっと多くの人が意見を出せる場を設けようと、コメダ部と別に20年3月、コミュニティーサイト「さんかく屋根の下」を開いた。

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