この記事は日経ビジネス電子版に『ビジョン・ファンド運営責任者ミスラ氏「私は孫さんより悲観的」』(1月5日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月10日号に掲載するものです。
孫正義氏と二人三脚で巨大ファンドを立ち上げた投資戦略のキーマンが、ロンドンでの単独取材に応じた。表舞台にはほとんど姿を見せないミスラ氏は、ソフトバンクグループとファンドの未来をどう描いているのか。
![<span class="fontBold">ラジーブ・ミスラ[Rajeev Misra]氏</span><br>1962年、インド生まれ。米マサチューセッツ工科大学スローンスクールの経営学修士号(MBA)を取得。97年から10年以上、ドイツ銀行の債券部門の責任者を務める。2014年にソフトバンクグループに入社し、17年からソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営会社CEO。18年からソフトバンクG副社長に就任。(写真=永川 智子)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00985/pf.jpg?__scale=w:350,h:525&_sh=0ce05e0db0)
1962年、インド生まれ。米マサチューセッツ工科大学スローンスクールの経営学修士号(MBA)を取得。97年から10年以上、ドイツ銀行の債券部門の責任者を務める。2014年にソフトバンクグループに入社し、17年からソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営会社CEO。18年からソフトバンクG副社長に就任。(写真=永川 智子)
ソフトバンク・ビジョン・ファンド設立から5年がたとうとしています。どのように規模を拡大していますか。
設立当時の従業員は10人で、(英ロンドン以外の)オフィスは東京と米サンフランシスコの2カ所でした。今では11~12カ所にオフィスを構え、従業員は400人を超えています。主に2種類の職種があり、一つは投資を専門とする職種で、全体の約半数を占めます。残りはコンプライアンスや経理、法務など経営管理や事務に従事しています。
世界中の企業に遠隔で投資をすることはできません。現地に密着しなければならないので、各地に拠点を置き、現地の人々を採用しています。
どのようなプロセスで投資を決めていますか。
多くの面で投資プロセスを体系化してきました。最初に体系化したものは、投資したい企業を検討するプロセスです。セクターや企業や創業者に関する多くのデータを照らし合わせ、リストに目を通し、アルゴリズムによって投資すべき企業を割り出します。現在はアジアと欧州、米国ごとに候補企業を検証し、これらの現地の議論で承認が下りた後に、グローバル投資委員会に候補企業のプレゼンテーションをします。
私たちは企業とその創業者に対する理解を深めるため、デュー・デリジェンスに数週間をかけます。迅速に動きますが、ほかのいくつかのファンドより投資決定までが速くないかもしれません。
投資先の拡大とともに、変更した投資プロセスはありますか。
すべてのプロセスです。特に(投資担当者や出資先候補による)プレゼンを重視するようになっています。以前、孫さんにプレゼンするのは週2回でしたが、あまりに多くの企業があるので現在は週4回になっています。
競合他社と比べた時の対象企業の業績、競合他社の情報、リスクについて説明するために、プレゼンの方法と内容を変えました。そして、投資をすると決めた時に、孫さんと私がすべての投資先企業の創業者に会います。時には何度も会うのです。
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