この記事は日経ビジネス電子版に『外食・小売り・観光 我慢重ねた2年、リベンジ消費に火』(12月13日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』12月27日・1月3日合併号に掲載するものです。

外食や小売り、観光分野の企業は新型コロナウイルス禍で大打撃を受けた。だが現在は、外出自粛の我慢を重ねた消費者が活発に動き出す様子が見られる。富裕層もけん引役となり、2022年は「リベンジ消費」が盛り上がる公算が大きい。

 好調なのは「松」コース 
高価格帯が売れる 明確な外出の目的

<span class="fontBold">年末商戦でにぎわう阪急うめだ本店(大阪市)。10月以降、都心部の百貨店は売り上げ、客数ともに回復傾向が顕著だ</span>(写真=菅野 勝男)
年末商戦でにぎわう阪急うめだ本店(大阪市)。10月以降、都心部の百貨店は売り上げ、客数ともに回復傾向が顕著だ(写真=菅野 勝男)

 11月20日は夫婦で東京都心にあるホテルニューオータニの寿司店「久兵衛」、翌日も一緒に六本木の「ステーキハウス ハマ」。3日間を空けて、高校の同級生と日比谷公園近くの会員制レストランで会食──。

 安田和雄さん(仮名、75歳)は杉並区内にある自宅のゆったりしたリビングで、手帳を繰りながら話す。「改めてみると、結構出かけているね。ワクチンも打ったし、感染者数も減って、安心感が出たよ」

コロナ禍でも株高で富裕層は資産を増やした
●日経平均株価の推移
<span class="fontSizeL">コロナ禍でも株高で富裕層は資産を増やした</span><br />●日経平均株価の推移
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 2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大が本格化して以来、外食どころか外出すら控える日々を送っていたが、21年11月下旬ごろからは頻繁に出かけるようになった。株高で懐も温かい。「日経平均株価が9月に3万円を超えたとき、10年ほど前に1万8000円ぐらいで買った分を売った。1000万円ぐらいは利益が出たかな」。年が明けて暖かくなれば、旅行にも出かけたいと声を弾ませる。

 コロナ禍の影響は業種によって異なっている。ネット分野の企業は巣ごもり消費を追い風に業績を伸ばした一方、レストランや百貨店、ホテルなどは壊滅状態になった。

 こうした消費者に身近な分野の企業の客足、業績がどこまで回復すると見るかによって、22年の日本経済のイメージは大きく異なってくる。明るい兆しは、安田さんのように2年近く重ねた忍従の憂さを晴らそうとする「リベンジ消費」の動きだ。

 「レストランでは11月以降、特に若年層の客足が戻ってきている。松竹梅とあるコース料理の中で、価格の高い『松』の売れ行きがいい」

 飲食業などのムーンエレファントジャパン(大阪市)で、東京都や神奈川県などの一等地で宴会場のほか高級レストランを運営する銀座クルーズ事業部の担当者は、消費の変化を実感している。

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