良いものを安く提供する──。多くの日本企業にとって、ごく当たり前の価値観だ。しかし、それにとらわれすぎたことで、日本経済はデフレから脱却できないでいる。利益率は上がらず、賃金も増えない。20年間の賃金上昇率はわずか0.4%だ。モノやサービスのグローバル価格をいつしか「高い」と感じるようになった日本人。この状況を放置すれば、企業も個人も競争の荒海に沈んでしまう。今からでも決して遅くはない。新たな発想でこの船をこぎ出そう。(写真=Pablo Reinsch/500px/Getty Images)

(武田 安恵、橋本 真実、鷲尾 龍一、鳴海 崇、バンコク支局 飯山 辰之介)

CONTENTS

PART 1
LIXIL瀬戸社長の憂い
皆で幸せになるため 雑巾絞りから脱却を

PART 2
iPhoneが高根の花に
物価の上がらない国 モノもヒトも「買い負け」

PART 3
「円安富国論」はもう通用しない
アベノミクスが暴いた 経済停滞の深層

COLUMN
「ガリガリ君」安さ追求への執念
10円の値上げ、議論は2年越し

PART 4
さくら水産、脱「ワンコイン」で店に活気
知恵と技術で価値創造 脱デフレ、企業がけん引

日経ビジネス2021年12月20日号 10~11ページより目次