この記事は日経ビジネス電子版に『企業の思惑と個人の本音 リスキリング調査で見えたすれ違い』(11月19日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』11月29日号に掲載するものです。
DXが進むにつれて増える余剰人材と、慢性的に不足するIT人材。ミスマッチを埋める「リスキリング」が世界でも話題に上る。動き出す企業とビジネスパーソン、その実態とは。


「人材投資について抜本的に強化していきたい。3年間で4000億円の政策パッケージを新たに創設する」
衆議院議員選挙後に新内閣が発足して間もない11月12日、岸田文雄首相は東京都内で企業の幹部らと人材育成についての意見交換を実施し、デジタル化に向けた人材育成を国として後押しする方針を示した。
デジタル技術があらゆる業界にとって不可欠となり、IT人材は慢性的に不足している。企業経営者を悩ませるこの課題の解決策の一つとして注目を集めるのがリスキリングだ。
DXや脱炭素社会の構築に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)など変化が激しい今、企業が従業員に求めるスキルもまた急速に変わりつつある。
経済産業省が今年3月に開いた「デジタル時代の人材政策に関する検討会」では、従来型のビジネスモデルの就業者を、DXを機にデジタル人材へと変革させるリスキリングの必要性がテーマとなった。余剰となった人材が学び直しによって「新たな武器」を持ち、異なる領域で活躍する。人材やスキルのミスマッチを解消し、組織としても強くなる。それがリスキリングの狙いだ。
日本で注目を集めているリスキリングだが、PART1でも見た通り先行するのは海外企業だ。
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