5~6年前からリスキリング制度の導入が一般化してきた米国企業。コロナ禍をきっかけに人材不足が深刻化し、その役割も変化を遂げてきた。リスキリングは「社員の再教育」に加え「人材獲得手段」になっている。

米アマゾン・ドット・コムが8月下旬から、1本のTVコマーシャルを繰り返し流して話題になっている。タイトルは「ミート・アーネスト(アーネストさんに会ってください)」。その内容はこうだ。
フィリピン出身のアーネストさんはアマゾンの倉庫に勤務していた2016年、兄弟を亡くし、その数年後に母をも亡くした。心のよりどころを失っていた彼を救ったのが、アマゾンの再教育プログラム「アマゾン・キャリア・チョイス」だった。アーネストさんは倉庫で勤務しながら会社から補助金を得てヘルスケアの勉強をし、医師や看護師の補助をするメディカル・アシスタントになった。
アマゾンは、将来は自社にとどまってくれないと分かっていても従業員のキャリア形成のためなら資金を提供する──。CMはその寛大さをアーネストさん目線でつづっている。
広告効果分析会社のiSpotによると、同社はこのCMに放映中の単独CMとして2番目に高い広告費の4340万ドルを費やした。また25年までに合計12億ドルを社員のスキル向上に充てると宣言している。

なぜアマゾンはここまで大胆に従業員のキャリア形成にカネを投じるのか。それは、そこまでしないと人材獲得が難しい現実があるからだ。
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