DXや脱炭素社会など、激しい変化が企業を襲う。だが、そんな乱世を乗り越える人材が社内にどれだけいるだろうか。IT人材を筆頭に、企業は慢性的な人手不足に苦しんでいる。働く人たちも自身の将来価値に不安を覚える。この問題の解決法の一つが、海外企業も熱心に取り組む「リスキリング」だ。これから求められる技能を習得してもらい、新たな武器で混迷の社会に挑む。リスキリングで再成長を狙うのか、あるいは衰退の道を選ぶのか。あなたの会社の未来がかかっている。(写真=Ksenia Danilko/EyeEm/Getty Images、SEAN GLADWELL/Getty Images)
(大西 綾、原 隆、白壁 達久、石井 大智、ニューヨーク支局 池松 由香)
リスキリングとは ?
企業が社員を再教育して、今後必要となる仕事上のスキルや技術を身につけさせること。あるいは個人が新たな職業に就くために必要なスキルや知識を獲得する取り組みを指す。DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応すべく、営業職がデータ解析のスキルを身につけるなど主にIT分野の技能習得に用いられることが多い。本特集ではITに限らず、デザイン思考なども含めて用いている。
アップスキリング、リカレント教育、OJT(職場内訓練)との違いは ?
リスキリングに対し、アップスキリングは既存の組織、既存の業務を前提として現在の業務をより良くしていくためのスキル習得を指す。リカレント教育は「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し、学ぶために「職を離れる」ことが前提になっている点がリスキリングと異なる。OJTは現在社内で進められている業務を体験し、その流れややり方を社員に理解してもらう手法を指す。
CONTENTS
PART1
乗り切れ「大離職時代」
先行する米国企業、教育は人材獲得手段
PART2
リスキリング調査
「学び直し」急ぐ個人 後れを取る企業
PART3
SOMPO、SMBC、日立製作所の焦燥
「負債人材」を資産に